白の黒剣

血が一滴、滴った。
無明の闇のなかから、今、何かが誕生し、
世界に波紋をもたらしていく。


黒剣座を象徴する色は、その物ずばり『黒』である。黒には「汚い」「怖い」などのイメージがある一方、「全てを吸収する色」「力を表す色」「動きのある色」としても使われ、カラーコーディネイトの場面でもしばしば強調や躍動感、力強さのアクセントとして用いられている。
 一方、カラーナンバーは1。色星は白。その白の意味するものは、黒のそれと全く正反対である。「綺麗」「潔い」「動かない」といった意味合いである。
 何もない、何もない白。そのままでは、やがて気がおかしくなってしまいそうな白。自分には色がある。髪の色、肌の色、血の色、内蔵の色。
 全てがある。だが、全てがない黒。全てを包含してしまっているために、何が何であるのか、それすらも分からなくなっている、無明の闇。
 その中から、何かの「きっかけ」となるものが見つかれば、それは自分だけではなく、周りのもの、果ては世界全体を「黒」から変えていく力になるやもしれない。

「何が闇なのか?」

 「闇」は見えないものだけとは限らない。見えている、光があるものにも、そして精神的なものにも「闇」は確実に存在する。自分の心が受け入れられないものに対して、ギュッと目をつぶるのも、自分が「闇」の状況に置かれていることを外部に表す手段なのだ。
 元来から「光」の恩恵を享受している人の子にとっては、「闇」は潜在的に恐れる存在であり、同時に、潜在的に必要なものでもある。であるにもかかわらず、必要以上の「闇」は人を恐怖させ、孤立させる。
 「闇」を切り開くための力。その初めの一歩こそ、幾許かの勇気であり、きっかけであり、一滴の血で表される痛みである。無明の闇から誕生したものが、いついかなるように世界を動かしていくのだろうか?数人の間だけかも知れない。あるいは世界そのものかも知れない。どのように目の前に現れてくるのかは全く持って不明である。
 今は非常に弱い力かもしれない。しかしいずれ、大なり小なりの「世界」を揺れ動かしていく存在となるのかもしれない。今はまだ、生まれたばかりの細やかな力なのだ。

血が一滴、滴った。
無明の闇のなかから、今、何かが誕生し、
世界に波紋をもたらしていく。 


ps.この語り部は女性の出産そのものだという暗喩も考えたのデスが、それだとすぐに話が終わってしまいますね(^^;;
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夢の終わり